借金の返済が苦しく「自分は債務整理できるのだろうか」と不安を感じている人は少なくありません。
債務整理は特別な人だけのものではなく、条件を満たせば誰でも利用できる制度です。
収入が不安定でも、借金が多額でも、生活を立て直したいという意思があれば解決の道が開けます。
大切なのは年収の高さではなく、「返済を整理して再出発したい」という気持ちです。
この記事では、手続きの条件をわかりやすく整理し、あなたの状況に合った方法を見つけられるようにまとめました。
読み終える頃には、自分が債務整理を利用できるかどうかの判断基準と、次に取るべき行動が明確になります。
借金問題を解決する第一歩として、ぜひ最後まで読んでみてください。
債務整理できる条件は?収入や借金額の具体的な目安

債務整理を利用できるかどうか、心配な方もいるでしょう。
実は「年収が○○万円以上必要」というような明確な基準で決まるものではありません。
ポイントは下記となります。
- 年収や借金額に一律の基準はない
- 「借金総額」と「返済可能額」のバランスで判断される
- 継続的な収入があるかどうかが大切
- 状況に応じて、任意整理・個人再生・自己破産のいずれかを検討できる
大切なのは 借金の総額と収入のバランス。
そして今後も安定した返済を継続できるかどうかです。
債務整理は、借金を返済できないほど困窮している人だけのものではありません。
むしろ先を見据え、今のままでは返済が長期化して、生活が破綻するリスクが高い人を救済するための制度です。
年収が低くても、安定的な収入がある・今後も返済していける見込みがあると判断されれば、手続きできる可能性は十分あります。
逆に、収入があっても返済額が生活費を大きく圧迫している、借金総額が収入に対して大きすぎるという方は危険です。
手遅れになる前に一刻でも早く専門家に相談しましょう。
また、債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」と方法も複数。
それぞれ必要な条件や対象となる借金の範囲も異なります。
個人再生や自己破産であれば、無職や主婦であっても可能なこともあるんです。
持ち家がある人は「個人再生の住宅ローン特則」で家を守れるケースもあります。
本章では、債務整理を検討すべきサインや債務整理の手続きや条件についてさらに詳しく解説します。
債務整理を考えるべき7つの具体例
「まだ大丈夫」と思っていても、気づかないうちに借金の返済が限界に近づいていることもあります。
特に、次のような状況に当てはまる人は、すでに生活に支障が出ている可能性大。
債務整理を検討するタイミングだと考えましょう。
- 借金の総額が、ご自身の年収の3分の1を超えてしまっている
- 複数の会社から借り入れをしていて、どこにいくら返済しているか分からなくなっている
- 返済のために、別の会社からお金を借りる「自転車操業」の状態になっている
- クレジットカードのリボ払いがなかなか終わらない
- 3ヶ月以上、返済が遅れたり滞ったりしている
- 毎月の収入から、家賃や食費などの最低限の生活費を引くと、返済額に足りない
一つでも当てはまれば、相談すべきタイミングです。
返済が苦しくなってからでは、選べる解決方法が限られてしまうこともあります。
早めに専門家へ相談することで、自分に合った方法を選ぶことも可能です。
債務整理3つの手続と条件
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」と3つの方法があります。
それぞれの特徴や条件が異なるため、自分にどの手続きが合うのかを比較してみましょう。
手続きの種類 | どんなことをするの? | 主なメリット |
---|---|---|
任意整理 | 貸金業者と直接交渉し、将来の利息や遅延損害金をカットしてもらう | 裁判所を通さないため手続きが比較的簡単で、整理したい借金を選べる |
個人再生 | 裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額(おおよそ1/5〜1/10)してもらう | マイホームなどの財産を残したまま、借金を大きく減らせる可能性がある |
自己破産 | 裁判所に申し立てを行い、原則すべての借金を免除してもらう | 返済義務がなくなり、生活の立て直しに集中できる |
任意整理は、返済を続けられる方に向いている方法。
借金が比較的少ない場合に選ばれることが多いです。
利息を減らすことにより、3年から5年ほどで完済できる見込み。
裁判所を通さないため、手続きも比較的シンプルです。
個人再生は、大きく減額したい方に適しています。
借金はおおよそ1/5から1/10にまで減額。
住宅ローン特則を利用すれば、持ち家を残せる可能性も。
借金が5000万円以下で、安定した収入がある方が対象です。
自己破産は、どうしても返済が難しい方に選ばれます。
借金の返済義務は免除。
しかし、一定の財産を失う可能性や、職業上の制限がある点に注意が必要です。
任意整理を利用するための条件
任意整理は、債務整理の中でも比較的利用しやすい方法。
裁判所を通さず、貸金業者と直接交渉で返済条件を整えていきます。
将来利息や遅延損害金をカットできるため、借金総額が減らなくても返済の負担を軽くすることが可能です。
重要なのは、「返済を続けられるだけの見込みがあるかどうか」 。
借金の額が大きすぎる場合や収入が安定しない場合は、任意整理だけでは解決が難しいこともあります。
ここからは、任意整理を利用するために必要な条件や流れ、向いている人の特徴をさらに詳しく見ていきましょう。
任意整理の具体的な条件
任意整理は、借金をゼロにする制度ではありません。
あくまで「返済の条件を現実的に整える」ための手続きです。
そのため、最低限の条件を満たしていなければ、利用しても継続が難しくなってしまいます。
- 毎月、安定した収入があること
- 借金の元金を60回(5年)で割った金額を、毎月返済できること
- これからも借金を返済していくという強い意思があること
安定した収入があることは、とても重要。
しかし、正社員だけでなく、パートやアルバイト、年金収入でも対象になります。
たとえば、月収20万円で安定して働いている人であれば、任意整理後の返済プランを現実的に組みやすいと判断されます。
借金の元金を60回で割った金額を、毎月返済できることも条件です。
任意整理では、通常3年から5年の返済計画を立てます。
たとえば借金が300万円であれば、月々5万円を返せるかどうかが目安。
生活費を差し引いても無理なく支払えることが大切です。
最後に、これからも返済を続けるという意思があることも外せません。
任意整理は借金をゼロにする制度ではありません。
支払いを続けられるという覚悟が必要です。
もう返せないから放棄したいという人は、自己破産を検討しましょう。
任意整理は「できるだけ返済をしたい」という気持ちを持っている人に向いています。
任意整理の流れ
任意整理は、専門家に依頼してから完了するまでにいくつかのステップを踏みます。
全体の流れをまず整理しておきましょう。
- 専門家へ相談・依頼
- 専門家から貸金業者へ受任通知を送付(この時点で取り立てや督促が止まる)
- 貸金業者から取引履歴を取り寄せる
- 上限金利で引き直し計算をして正確な借金額を確定
- 専門家が貸金業者と和解交渉を行う
- 和解が成立すれば、その内容に沿って返済を再開する
最初のステップは専門家への相談・依頼です。
相談はその日のうちに終わることも多く、依頼から数日以内には次の段階へ進みます。
依頼を受けた専門家は、すぐに「受任通知」を貸金業者に送付。
通知が届いた瞬間から、取り立てや督促の電話は止まります。
その後は、各貸金業者から取引履歴の取り寄せ。
取り寄せには、通常2週間から1か月程度かかることが多いです。
取引履歴をもとに、専門家が法律上の上限金利に合わせて引き直し計算を行い、実際の借金額を確定します。
計算自体は1〜2週間ほどで完了するのが一般的です。
正確な金額が出たら、専門家と貸金業者による和解交渉。
将来利息をカットしたり返済期間を延ばしたりするための話し合いで、1〜3か月ほどかかる場合があります。
最後に和解が成立すれば、その条件に沿って返済を再開。
通常は3年から5年の分割返済になります。
ここからが本当の再スタートです。
任意整理に向いている人
任意整理はすべての人に適しているわけではありません。
特に次のような特徴に当てはまる人に向いている手続きです。
- 借金の総額が比較的少ない(目安として500万円以下)
- 安定した収入があり、3〜5年で完済できる見込みがある
- 保証人がついている借金や住宅・自動車ローンを外して整理したい
- 裁判所を通す手続きには抵抗がある
- 借金の原因がギャンブルや浪費である
借金の総額が比較的少ない人は任意整理向きです。
目安は500万円以下とされることが多く、利息を減らすだけでも返済の負担が軽くなります。
安定した収入があり、3年から5年で返済できる見込みがある人も任意整理がおすすめ。
返済計画を現実的に立てられることが、任意整理の成功には欠かせないためです。
任意整理は、手続きの対象にする借金を選べます。
保証人がついている借金や、住宅ローン・自動車ローンなどは対象から外せます。
そのため、大切な財産を残したい人や、保証人に迷惑をかけたくない人にも有効です。
裁判所を通す手続きに抵抗がある人も安心して利用可能。
任意整理は裁判所を介さないため、比較的短期間で進められ、精神的な負担も軽くなります。
また、借金の原因がギャンブルや浪費であっても利用できるのもポイント。
他の手続きでは不利になりやすい理由でも、任意整理では交渉次第で和解できるケースが多くあります。
個人再生を利用するための条件
個人再生は、借金を大幅に減額しながら生活の立て直しを目指す手続きです。
任意整理では返済が難しい場合でも、個人再生なら現実的な返済計画を立てられることがあります。
特に、住宅ローンを残したまま他の借金を大きく減らせる「住宅ローン特則」が大きな魅力。
個人再生で押さえておきたい3つのポイントをまとめました。
ここからは、この3つを順番に確認していきます。
まずは「個人再生を利用するために必要な4つの条件」から見ていきましょう。
個人再生に必要な4つの条件
個人再生に必要な4つの条件は下記となります。
- 将来にわたり継続的な収入があること
- 借金の総額が5000万円以下であること
- 過去に個人再生を利用していないこと
- 個人再生委員に協力できること
まず、継続的な収入があることは必須条件。
正社員に限らず、安定したパートやアルバイト収入、年金などでも認められることがあります。
今後も返済を続けていけると判断されれば問題ありません。
二つ目は、借金の総額が5000万円以下であることです。
住宅ローンは別枠で扱われるため、住宅ローンを除いた借金額が基準になります。
三つ目が、過去に個人再生を利用していないこと。
利用していると、新たに申し立てることは難しくなります。
制度の乱用を防ぐための決まりです。
最後に、個人再生委員への協力も欠かせません。
裁判所から選ばれる委員とやり取りをし、家計の状況や返済計画誠実にについて誠実な対応を示す必要があります。
ここまでが、個人再生を利用するために必要な基本条件です。
次に、個人再生の大きな特徴であり、多くの人が利用を希望する「住宅ローン特則」について見ていきましょう。
住宅ローン特則が大きな魅力
個人再生を選ぶ大きな理由のひとつである、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)。
この制度を利用すると、マイホームを手放さずに他の借金だけを大幅に減らせます。
家を守りたい人にとって、とても強力なメリットですよね。
- 住宅ローンは従来通り返済を続けられる
- カードローンやキャッシングなど他の借金だけを大幅に減額できる
- 「家は残したいけれど他の借金が重い」人に有効
住宅ローン特則を使えば、住宅ローンはそのまま返済。
しかし、カードローンやキャッシングなどの借金だけを大幅に減額できます。
たとえば、総額1000万円の借金を抱えている場合、住宅ローンを除いた500万円が対象となり、総額も大きく減少。
「家は残したい、けれど他の借金が重すぎる」という状況を解決できるんです。
生活の基盤を失わずに済む点は、任意整理や自己破産にはない特徴となっています。
ただし、住宅ローン以外に抵当権が設定されている場合など、特則を利用できないケースも。
利用条件を満たしているかどうかは、必ず専門家に確認することが大切です。
個人再生の手続きの流れ
個人再生は裁判所を通す手続きなので、任意整理よりもステップが多く、完了までに時間がかかります。
まずは全体の流れを整理してみましょう。
- 専門家へ相談・依頼
- 裁判所へ個人再生の申立て
- 裁判所で個人再生委員との面談などが行われる
- 減額後の返済計画案を作成して裁判所に提出
- 計画案が書面決議や意見聴取にかけられる
- 裁判所が再生計画を認可
- 認可された計画に沿って返済を開始
専門家に相談し、正式に依頼すると手続きがスタート。
依頼直後から取り立てや督促は止まり、精神的な負担は大きく減ります。
次の段階は裁判所への申立てです。
申立書には借金の内容、収入や支出の状況、財産の明細が必要となります。
申立てから最初の面談までの期間は1〜2か月前後。
裁判所では個人再生委員との面談が行われ、収入の安定性や返済計画の実現性を確認されます。
不誠実な対応は計画不認可につながる恐れもあるため、誠実な説明が欠かせません。
続いては再生計画案の作成。
減額された借金をどのように返済していくかをまとめた書類で、作成には1〜2か月を要するのが一般的です。
提出された計画案は書面決議や意見聴取にかけられます。
債権者からの反対が多ければ認可が下りない可能性もあるため、専門家による綿密な準備が重要。
期間は1〜3か月程度です。
最終的に、裁判所が再生計画を認可します。
申立てから認可までの全体期間は、半年から1年ほどが目安と考えましょう。
認可が下りた後は返済の再開です。
計画に沿って3年から5年の分割払いを行い、生活再建へ向けた新しいスタートを切ることになります。
自己破産を利用するための条件
自己破産は、返済の見込みがまったく立たないときに選ばれる最終手段。
裁判所に申し立てを行い、認められれば借金の返済義務が免除されます。
生活を立て直すための大きなリセット手段といえます。
ただし、誰でも利用できるわけではありません。
手続きを進めるには、いくつかの条件を満たしていることが必要です。
ここでは、自己破産に関して特に押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
2つを順に見ていきましょう。
①自己破産の条件3つ
自己破産の主な条件は下記となります。
- 支払い不能の状態にあること
- 免責不許可事由に該当しないこと
- 浪費やギャンブルなどが原因でも、例外的に認められる場合があること
支払い不能の状態とは、収入や資産を考えても返済を継続できない状況のこと。
単に「借金が多いから苦しい」と訴えるだけでは認められません。
免責不許可事由に該当しないことも大切です。
たとえば財産を隠したり、意図的に借金を増やしたりした場合は、免責が許されない可能性があります。
浪費やギャンブルが原因の場合でも、必ず否認されるわけではありません。
借入の経緯や反省の度合い、生活の改善意欲などを踏まえ、例外的に認められることがあります。
次は「自己破産における支払い不能とは何か」を、もう少し詳しく見ていきましょう。
②「支払い不能」を詳しく解説
自己破産が認められるかどうかは、裁判所が「支払い不能」と判断するかにかかっています。
ただ「借金が多いから苦しい」と訴えるだけでは足りません。
裁判所はさまざまな情報を総合して、返済が可能かどうかを見極めます。
- 資産(預貯金、不動産、生命保険、車など)
- 負債(借金の総額や借入先の数)
- 収入(現在の職業、給与、今後の収入見込み)
- 支出(生活費の内訳や家計のバランス)
- その他(年齢、家族構成、健康状態など)
資産がどれくらいあるか、借金総額はどの程度か。
収入が安定しているかどうか、生活費を含む支出の状況や家族構成や健康状態。
これらの要素を総合的に考えて、今後も返済を続けるのが不可能と判断されれば「支払い不能」と認められます。
月収が20万円で借金が1000万円ある場合を考えてみましょう。
家賃や食費など生活費に15万円かかっていると、残りは5万円しか残りません。
1000万円を返済するには到底足りず、収入の範囲内で返済を継続するのは不可能ですよね。
このような場合、裁判所は「支払い不能」と判断する可能性が高くなります。
逆に言えば、多少苦しくても収入や資産から見て返済できると判断されれば、自己破産は認められません。
支払い不能は「もうどう頑張っても返せない状態」を客観的に示すことが必要なのです。
債務整理の条件に当てはまらず手続きができない主なケース
債務整理は多くの人を救済できる仕組みです。
しかし、すべての人が無条件で利用できるわけではありません。
借金の種類や生活状況によっては、手続きを進めるのが難しい場合があります。
たとえば、任意整理や個人再生では、今後も返済が続けられるくらい安定した収入があることが前提。
自己破産の場合は「どうしても返済ができない状態」であることが不可欠です。
これらの条件を満たさないと判断された場合、申し立てをしても手続きは認められません。
条件が設けられているのは、制度を乱用させないためでもあります。
本当は返済できるのに債務整理を選んでしまう人を避け、借金に本当に困っている人を救済するためのルールなのです。
条件を満たせなかったと聞くと落胆してしまう人もいますが、決して「もう解決できない」という意味ではありません。
むしろ、条件を満たさない理由を知ることで、自分に合った別の方法を探すヒントになります。
借金解決には複数の選択肢があるので、債務整理がすべてではありません。
大切なのは「自分の状況ではなぜ難しいのか」を理解し、そこから別の道を模索することです。
ここでは、手続きが難しくなる主な理由と、その場合に取れる対処法を順番に整理していきます。
まずは 手続きが難しくなる具体的な5つの理由 を確認していきましょう。
①手続きが難しくなる具体的な5つの理由
債務整理は多くの人にとって有効な方法ですが、状況によっては利用が難しくなることがあります。
代表的な理由を5つに整理しました。
- 返済能力が高いと判断される場合
- 借金の総額が少なすぎる場合
- 税金や養育費など、整理できない支払いがある場合
- 過去に自己破産などを利用している場合
- 専門家や裁判所に協力せず、不誠実な対応をした場合
返済能力が高いと見なされると、任意整理で貸金業者が交渉に応じてくれなかったり、個人再生が認められなかったりします。
つまり「返せる余力があるのに債務整理を使うのは不適切」と判断されてしまうのです。
借金の総額が少なすぎる場合も対象になりにくいです。
たとえば借金が30万円しかないのに、専門家への依頼費用が40万円かかると、費用倒れになります。
その場合は、専門家から別の解決策を勧められることが多いでしょう。
また、税金や社会保険料、養育費などは整理の対象外。
減額や免除は認められないため、滞納額が大きいと生活再建は困難と判断されます。
過去7年以内に自己破産を利用している場合も、再度の申し立てが厳しく制限されます。
制度の乱用を防ぐために設けられた規定なので、審査も慎重にならざるを得ません。
専門家や裁判所に協力しない態度も問題。
財産を隠す、虚偽の申告をする、といった行為は手続きの不認可や免責不許可につながります。
②条件に当てはまらない場合はどうすればいい?
専門家に相談したとき、「債務整理の条件を満たしていない」と言われることもあります。
しかし落ち込む必要はありません。
むしろ、自分に合った別の選択肢を探すきっかけになります。
最初に確認すべきなのは、なぜ条件を満たせないのかという理由です。
返済能力が高いと判断されたのか、あるいは整理の対象外となる借金が大きいのか。
原因を正しく理解することが大切です。
解決方法はひとつではありません。
複数の借金をまとめて金利を下げる「おまとめローン」が利用できる人もいます。
生活費の補填には、公的な貸付制度や支援制度が案内されるケースもあります。
状況によっては、家計改善のアドバイスや支出の見直しを勧められることもあるでしょう。
債務整理が難しいと言われても、借金解決の道が閉ざされるわけではありません。
新しい手段を試すことで、生活を立て直せる可能性は十分あります。
大切なのは「自分にはもう方法がない」と思い込まず、粘り強く相談を続ける姿勢です。
債務整理の条件を満たした場合のデメリット
債務整理のメリットは、借金の返済が楽になったり、場合によってはゼロにしたりできること。
生活を立て直すための力強い一歩になる手続きです。
ただし、生活に影響を及ぼすデメリットも存在します。
新しい借入れが難しくなったり、一定の期間クレジットカードを使えなくなったり…
不便を感じる場面も少なくありません。
だからこそ、手続きを検討するときは「良い面」と「注意すべき面」の両方を理解しておくことが大切です。
デメリットの一つが「ブラックリスト入り」してしまうこと。
信用情報機関に事故情報が登録され、新しい借り入れが難しくなります。
ここからは、債務整理をしたときに起こるデメリットと、手続きごとのデメリットを整理しました。
すべての手続きに共通するデメリット
債務整理の手続きは種類によって違いがありますが、共通して生じるデメリットもあります。
代表的なものを表に整理しました。
デメリットの内容 | 具体的な影響 | 影響が続く期間の目安 |
---|---|---|
信用情報への登録 | ・クレジットカードの新規作成や利用ができない ・住宅ローンや自動車ローンが組めない ・スマホ本体の分割購入ができない場合がある ・賃貸住宅の保証会社に通らない場合がある | 手続き後、5年〜7年程度 |
保証人への影響 | 保証人がついている借金を整理すると、保証人に一括請求がいく | 手続きを開始した時点から |
官報への掲載 | 氏名や住所が国の機関紙(官報)に載る(個人再生・自己破産のみ) | 掲載は1回〜数回 |
信用情報機関に事故情報が登録される状態は「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。
クレジットカードやローンが使えなくなるので、生活に制限を感じる人も多いでしょう。
ただし、ずっと続くわけではありません。
登録は5〜7年で消え、再び利用できるようになります。
しかし、保証人への影響は大きな問題。
保証人がいる借金を整理すると、その人に請求がいってしまいます。
家族や知人に迷惑をかけたくない場合は、保証人付きの借金を対象から外す工夫が必要になります。
官報への掲載は不安に思う人も少なくありません。
けれども、官報は一般の人が目にする機会がほとんどない媒体です。
日常生活で周囲に知られるリスクは限りなく低いといえます。
手続きごとの特有のデメリット
債務整理には共通するデメリットがある一方で、選んだ手続きごとに異なる影響も出てきます。
どの手続きを選ぶかによって、生活や財産への影響の仕方が変わってくるのです。
そのため、手続きの特徴を理解したうえで、ご自身の人生設計と照らし合わせることが大切。
どの手続きが最も自分にとってプラスになるのか慎重に判断しましょう。
ここでは、任意整理・個人再生・自己破産の3つに分けて特有のデメリットを整理しました。
任意整理のデメリット
任意整理は裁判所を通さずに進められる点で利用しやすい方法ですが、次のような弱点があります。
- 貸金業者が交渉に応じない場合、和解が成立しない可能性がある
- 減額できるのは将来利息が中心で、元金は減らない
利息がカットされるだけでも返済は楽になります。
しかし、借金総額が大きすぎる場合は効果が限定的になることを理解しておく必要があります。
個人再生のデメリット
個人再生は大幅な減額を実現できる手続きですが、その分だけ手続きは複雑です。
- 裁判所を通すため、準備や手続きが煩雑になりやすい
- 弁護士費用などの負担が比較的高額になりやすい
- 認可まで半年〜1年かかることが多く、時間的な負担がある
減額幅が大きい分、手続きや費用への覚悟が必要です。
短期的な解決を求める人には向かず、計画的に時間をかけて立て直す人向けの方法といえます。
自己破産のデメリット
自己破産は借金をゼロにできる強力な手段ですが、失うものも少なくありません。
- 20万円以上の価値がある財産を手放す必要がある(持ち家や車など)
- 手続き中は一部の職業に制限がかかる(警備員、保険外交員など)
- 官報に氏名と住所が掲載される
借金の返済義務はなくなりますが、生活への制約は最も大きい方法です。
「返済をどうしても続けられない」人のための最終手段といえます。
債務整理の条件を把握して最適な方法を選びましょう
債務整理は3種あり、それぞれ条件や特徴、向いている人も異なります。
任意整理では比較的少額の借金に対応でき、個人再生では住宅を残したまま大幅な減額が可能。
自己破産は借金をゼロにできる代わりに、財産や資格制限といった大きなデメリットが伴います。
- 任意整理は、利息をカットして比較的少額の借金を3〜5年で返済できる人に適している
- 個人再生は、借金を大幅に減額しながら住宅を守りたい人や、安定した収入がある人に向いている
- 自己破産は、返済の見込みが立たない人が生活を立て直すために選ぶ最終手段である
- どの手続きを選んでも共通するデメリット(信用情報の登録、保証人への影響など)がある
- 条件を満たさない場合でも、おまとめローンや公的支援など別の解決策が残されている
どの方法も信用情報への登録や保証人への影響といった共通のデメリットが避けられません。
一方で、条件に当てはまらず利用できないケースも。
その場合にはおまとめローンや公的制度など、別の解決策を検討する必要があります。
債務整理は、借金を整理するための「最後の砦」と考えられがちですが、実際には生活を再建するための現実的な方法です。
条件を正しく理解し、自分に合った制度を選ぶことが、解決への近道になります。
不安を感じているなら、一人で抱え込む必要はありません。
まずは専門家に相談し、自分の状況でどの手続きが可能なのかを確認してみましょう。